2025/02/07
去る2月2日、節分の日の夕方のこと。
暮れなずむ夕日を屋上から見上げつつ
赤鬼が、一日を振り返りつぶやきました。
「俺たちは桃太郎たちに退治される運命と知りつつ
みなを驚かせ、怖がらせてやろう!と
盛大に発声練習し、威勢よくストレッチをして
いたずら心いっぱい意気込んで登場したんだ。
ところが、どうしたことだい。
体格の良いがっちりとしたご入居者達からは
さぞ強い豆球を受けるだろうと覚悟してたのに
飛んでくるのは、優しく手加減された豆球ばかり。
それも思いやりに満ちあふれた豆球だ。
まずい!『真に強い人間』の優しさを感じて
俺たちは柄にもなく心が温かくなってしまった。
その時、ベッド上で休まれていた方から
真顔でいきなり強い豆球が飛んできた。
あまりの力強さにこっちがびっくりして
思わず『ますます元気になってください!』
と叫んじまったじゃないか。
かと思えば、驚かそうと待ち構えてる俺を見た途端
笑顔で握手を求めて近寄ってくる方もあった。
加えて感謝の言葉まで頂戴しちまって。
何たることだ!わが役割も忘れて
すっかり胸が熱くなっちまったぜ。」と。
そう語る赤鬼の目にはうっすらと涙が…
そのようなわけでこの赤鬼さん、来年からは
皆を怖がらせるのは自粛することにしましたとさ。
とっぴんぱらりのぷう。
めでたし、めでたし。
個性たっぷり優しい皆様のおかげで
赤鬼に扮した職員も翌日からはまた
いつもの心優しい職員に早変わりです。